窓のカバー工法は窓の有効寸法がどれくらい狭くなる?カバー工事のメリットデメリットも
窓の交換工事を検討されている方向けの記事となります。窓の交換をサッシ業者に依頼すると”カバー工法”を勧められる事が多いです。既存のサッシ枠全体を取り外して新しいサッシ枠を納める窓の交換は、サッシ屋、外壁屋、大工、場合によっては左官など職人を多数入れなければならなくなりその分コストがかかります。外壁をカットして既存枠を取り出すので音や埃などの問題も発生し近隣への配慮も気になる所です。工期も1窓で1~3日職人の手配などにも影響されます。
その点、カバー工法はサッシ屋が行う工事で、1窓程度であれば半日~1日で施工完了します。職人のスケジュールに左右される事もありませんのでリフォーム需要で売り上げを上げたい業者にとっては取り扱い易い商材です。本日は、カバー工法、従来の工法に関するメリットデメリットなどをまとめましたので参考にして頂ければと思います。
カバー工法の作業工程
窓のカバー工法は、主に窓枠に取付けるベース材が“肝”となりますがサッシメーカであるLIXIL(リクシル)、YKKap、三協アミルなど各社はこのベース材を販売しています。
カバー工法の作業工程は既存の不要なアルミ部分をカットし窓枠にベース材を取付けます。窓枠全体をフラットな状態にし新たな額縁を形成する事でこの部分に新たなサッシ枠を設置できる状態にします。
新しいサッシ枠を取付け、ベース材と新たなサッシの取付部分を化粧カバーで覆う事により綺麗な仕上がりとなります。
カバー工法と従来工法の比較
カバー工法にはカバー工法のメリットデメリットがありますし、従来工法にも同じくメリットデメリットがあります。この章ではそれぞれの特徴や良い部分や悪い部分を解説します。
カバー工法のメリット(工期短縮・コスト安)
カバー工法のメリットは“簡単に窓の交換が出来る”と言う部分です。腰高窓(中窓)と言われる2枚引き違い窓であれば概ね半日で工事が終わります。リビング用窓でも1日で工事が終わるイメージです。
外壁に傷をつけないので、防水性が損なわれる事はありませんし、工期が短くコスト安になる事が一般的です。
従来工法では、まずサンダーで外壁周辺をカットします。これは既設の窓枠を取り出す為の作業ですが、この作業中にホコリや塵が発生します。また電動工具を使用するので隣近所の方への配慮も必要となって来ます。
その後、既存の枠を取り出し新規枠を設置するのですが、防水処理をしっかりしていないと窓交換の後に窓枠付近から室内の雨水が侵入してきたり、見えない部分で浸食が進み住宅が知らずに傷んでしまう危険性もあります。これは施工会社の技術不足(施工不良)という事になりますが一般の素人ではそれを見抜く事は容易ではありません。
カバー工法はそういった施工不良のリスクを極力起こさない様に施工マニュアルが用意されています。
カバー工法のデメリット(窓の有効スペースが狭くなる
一方、カバー工法のデメリットは窓の有効スペースが狭くなる事、下枠部分も立ち上がるので、リビング窓など掃き出しが出来なくなる事が懸念点です。
各メーカにより若干は異なりますが、横幅は6cm~8cm程度。上下は10cm~15cm程度窓が狭くなります。
これは、べーズ材を取付けて新しいサッシを取付可能にする額縁を形成する為にその様になるのですが人によってはあまりに狭くなった窓の仕上がりを見てガッカリされる方もいますので注意が必要です。
従来工法では、サッシの枠を取外す為、今まで通りの納まりが再現されますので、有効スペースが狭まると言う事はありません。ただ、外壁部分のカットした所をどのように隠すかはその施工業者のやり方や、お客様との打ち合わせによりますので“外観の見た目”については好みとなると言えます。
それでもカバー工法が選ばれる理由
カバー工法のデメリットは窓が狭くなる事です。木造2階建て住宅などでは外壁を切って既存枠も撤去し新たな枠を設置する事を選択される方も結構いらっしゃいます。ただ、マンションなど鉄筋コンクリート造の住宅の場合、この様な工事は現実的ではありません。なぜかと言うと、マンションなどでは窓枠は溶接で留まっているので外壁を壊して枠を取り除くのはかなり大規模な工事となるからです。
マンションの大規模改修工事として計画されている以外に個別でこの様な工事を行う事はNGだと思われます。
ただ、入居されている人によっては窓の交換を希望される方もいますので、その様な方は、マンションオーナーや管理組合の許可を取った後にカバー工法を選択する事で窓交換が可能になります。
(マンションの窓交換は許可が必要です。詳しくはこちらの記事も合わせてご覧下さい)
まとめ
本日はカバー工法のメリットデメリットや窓の有効スペースの変化について解説しました。もともと窓が広い部分の交換であればそれ程気にならないと思われますが、あまり広いと感じていない窓をカバー工法で交換すると“かなり狭くなった”と感じるかもしれません。その場合は従来工法も合わせて検討した方が良いと思われます。業者主導で窓交換を行うのではなく、ご自身でも情報を得て後悔の無い窓の交換を行って頂く為の参考となれば幸いです。