【ガラス屋が解説】ペアガラスを1枚だけ交換は可能か?

最近の住宅窓ガラスは高機能なペアガラスが標準で取付けられている事が多いです。私共ガラス屋も従来の単板ガラスのみでなくペアガラスのガラス割れ現場に行く事が多くなっています。
そんな時に良く言われる内容として「外側のガラスしか割れてないので、外側のガラスだけ交換して下さい!」と言うような内容です。外側、内側限らずに、要は2枚1組のペアガラスですが、割れているのは外側もしくは内側の1枚だけなので、その1枚を交換出来ませんか?と言うご要望です。
本日は、ペアガラスは割れた面1枚だけの交換が可能なのか?について具体的に解説して行きたいと思います。
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ペアガラス1枚だけの交換は可能か?
結論から申し上げます。
ペアガラス1枚だけの交換は出来ません。
はい。これで答えは完結ですが、「え?!どうにか出来るんじゃないですか?なんで割れてない方のガラスも交換しないとダメなの?納得できない!」とお思いの方もいらっしゃると思いますので詳しく掘り下げて解説いたしますね。
※どうしても1枚だけ交換したい方向けに裏技的方法も記述していますので、宜しければ読み進めて行って下さい。
ペアガラスは1枚ワンセット
ペアガラスは1枚1組(ワンセット)なのです。確かに見えている部分は内側と外側に分かれています。ガラスとガラスの間にはスペースがあるので、いかにも別々に取り付けられている印象を受けますが実際は見ていないサッシの中で内側と外側のガラスはくっついているのです。
下記の画像をご覧ください。

画像はペアガラスになりますが赤い印がついている部分がガラスの部分です。ガラスとガラスが黒い部分を介して一体となっているのが確認出来ると思います。この様に一見別々に見えるペアガラスもサッシの中では1組(ワンセット)になっているのです。
下のガラスもペアガラスです。サッシから外すとこの様な感じになっています。

ペアガラスを1枚だけ交換する裏技とリスク!
ペアガラスを1枚だけ交換することは物理上出来ます。あくまで物理上の話しです。
サッシからペアガラスを取り出し電動工具を使用して割れた1枚のガラスを取り外します、同じ大きさのガラスを持って来てコーキング等で簡易接着、サッシに戻せば取替完了です。
ただ、
但し、大きなリスクがありますので続けてご確認下さい。
ペアガラスはどの様な目的のガラスなのでしょうか。ペアガラスの効果としては単板ガラスに比べて主に下記の機能性が向上すると言われています。
熱効率の向上
断熱性能・遮熱性能が向上し、冷房や暖房の効きが良くなります。その結果電気代等のコスト削減につながる効果があります。
結露対策
単板ガラスに比べガラスに結露がするのを軽減します。
遮音効果
単板ガラスに比べて外の音が室内の入ってくる事も、室内の音が外に漏れる事もペアガラスは軽減してくれます。
ペアガラスには主にこれらの機能向上がありますが、ペアガラスを1枚だけ交換する裏技はこれら全ての効果をゼロにします。
ペアガラスを1枚だけ交換すると何故ペアガラスの機能が失われるのか?

ペアガラスはガラスとガラスの間の空間にスペースが設けられていますが、これは単純にガラスとガラスを合わせてくっつけているだけではありません。
中間のスペースはメーカーや商品により異なりますが、アルゴンガスや乾燥空気又は真空状態により”密閉”されています。ここに外気が入れば内部結露を起こす原因になり、そもそも内側もしくは外側のガラスが割れた時点で既にペアガラスとしての機能は果たさなくなっているのです。
従いまして、ペアガラスの内1枚が割れた場合、1枚だけどうにか交換する事が出来たとしてもペアガラスの機能は失われていますので基本的には2枚ワンセットの交換しか対応できないと言うガラス屋が99%と言う事になります。
さらに、「いや別に機能を失っても”安く”修理をしたいから1枚だけ交換して欲しい」とご希望される方のいらっしゃるかもしれませんが、恐らくペアガラス(2枚ワンセット)を交換するよりも加工費用など大変な工事を行わなければならないのでかえって割高になる可能性が高いです。また一般のガラス屋では請けてくれない可能性大です。
機能が失われた上で価格も割高となればガラス1枚だけを交換する意味が全くない様にも思えます。
まとめ
本日は1枚だけ割れたペアガラスを1枚のみ交換出来るのか?と言う疑問についてガラス屋ならではの視点で解説いたしました。出来ない事もないが、やる意味がないとの見解です。何かの参考にして頂ければ幸いです。