ガラスってどうやってカットしているの?
ガラス交換の作業を行っているとお子さんが寄って来て「どうやってガラス切るん?」と興味深く観察して来ます。大人の方でも「ガラスを切る所見た事がないので見せてもらってもいいですか?」と見学される方も珍しくありません。(特にDIYなどに興味のある方は、知っておきたと言う探求心があるのでしょうね)
私共では現場(現地)で切台と言う作業代をセットして、そこに3×6(サブロク)サイズ、たたみ1畳程のガラスを乗せてガラスカットを行います。工場ではもっと、もっと大きなサイズのガラスから定寸サイズに切り出しますが、そこは”カット”して一般のガラス屋が行うガラスのカットについて記事にしてみました。
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ガラスは”切って”いるのではなく”割って”いるんです。
ガラスをカットする。。とか、ガラス切断・・・とか。言うのでガラスって”切って”いるとイメージしがちなのですが、実際の所、ガラスは”割っている””折っている”と言う表現の方がしっくりきます。後で詳しく説明しますが、ガラスカッターと言う道具を使ってガラスに切れ目(傷)をつけます。そして傷がついた線を下から突き上げるイメージで”割る”と切れ目に沿ってガラスが切断されます。もちろん、しっかり切れ目が付いていないと斜めに割れたり意図しない割れ方をします。そういう意味では職人の技術が問われる所です。いずれにしましても、ガラスをカッターで”切る”と言う事では無いとご理解下さい。切れ目(傷)をつけているだけです。
カット出来ないガラス
住宅用の通常板ガラス(単板)ガラス厚は3~5mmの物が殆どです。中には6mm、網入りガラスで6.8mmの物もあります。高層マンションでは10mmのガラスもありますが、大抵はガラスカッターで切り出す事が可能です(網入りガラスもカット出来ます)。ただ、全てのガラスがカット出来るのか?と言うと、そういう訳でもありません。現場や店舗でカット出来ないガラスを見て行きましょう。
・ペアガラス
複層ガラスとなっていてガラスとガラスの間に乾燥空気、アルゴンガスなどが密封されています。または真空状態の商品もあり、ペアガラスはそれらも含んだ商品なのでカットする事はできません。
・防犯ガラス(防音ガラス)
ガラスとガラスの間に特殊フィルムが挟まれています。ガラス自体を割る事は出来ますが中のフォルムはそう簡単に切る事が出来ません。私も何度か挑戦しましたが、フィルムをヒートガンであぶり、ヤワヤワにした状態であればフィルム自体をカッターで切る事が出来ます。ただ、やはり両面のガラスのカッターを入れる位置を間違える事無く入れなくてはなりませんし、非常に難易度は高いです。そもそも現場でカットする想定で作られているガラスでは無い事も付け加えさせて頂きます。
・強化ガラス
強化ガラスはカット出来ません。試した事はありませんが、カットしようとすれば粉々に割れると思います。
ガラスをカットする為の道具
ガラスをカットする時に必要な道具を書き出してみました。
・スケール
必要なサイズを測る為に不可欠ですね。
・ペン
サイズを測った後に印をつけます。
・定規
ガラスの上に置いて使用しますので切りたいサイズより長い定規が必要です。ガラスに対して滑りにくい素材の物がベストです。
・ガラスカッター
ホームセンターや通信販売で売られています。カットしたいガラスの厚みを基準にガラスカッターをセレクトして下さい。以前はダイヤモンドカッターと言われるガラスカッターが主流でしたが、最近ではローラーカッターと言われるものが主流となっています。ガラスカッターの持ち手も部分にオイルが入れられる構造となっていてオイルの効果でガラスカットの失敗がかなり軽減されます。初心者の方にもお勧めのガラスカッターです。
・ヤットコ(ペンチ)
必ず必要と言う訳ではありませんが、カットの余りが10mm程度しかない場合に使用します。ペンチでも代用が効きますが、要はガラスを掴んだり、砕いたりする道具です。「ヤットコ」で検索して見て下さい。例えば900mmのガラスに対して890mm必要だった場合10mmの部分を切り離さなければなりません。10mmを指で摘まんで力を入れるの現実結構大変です。そんな時に「ヤットコ」があれば比較的簡単に10mm分のガラスを切り離す事が出来ます。
ガラスのカットで失敗するケース
実際に現場で作業しているとガラスカットに失敗してしまうケースもあります。「猿も木から落ちる」と言う事でしょうか。私が不得意な環境はガンガンの直射日光をガラスが浴びている。。夏に多いケースですが、日差し強い状況でガラスカットする場合熱によるものなのか、いつも通りガラスをカットしても途中で意図しない方向に割れ目が走ったり、「バリッ」と割れてしまったり失敗する事があります。また雨の日のガラスカットにもかなり気を使います。お客様のお宅に車庫があれば良いのですが、雨が降っていいる状況でガラスをカットする場合、切り出したいサイズに印を付けるマーカーも滲みますし、表面にオイルが乗らないので通常よりも力強く切れ目を付けないと、これまた上手くカット出来ません。
ガンガン晴れと雨の日は現場でガラスカットをする際、かなり気を付けなければならないシチュエーションです。
まとめ
本日はガラスのカットについて記事にしました。あまり目にする事のないガラスのカットだと思いますが、身近にある窓ガラスが割れた時にはガラス屋はこんな風にガラスをカットして修理するのだな~と感じて頂ければ幸いです。