本日は防音用サッシの戸車交換を行った施工実績掲載したいと思います。防音用のサッシ戸車は少々特徴的な形状や機能を備えていましたのでその辺りのお話しも含めて記事を書きました。また、通常戸車を交換する際には汎用品戸車か純正戸車を選択するのですが防音サッシ用戸車ではそうもいかないようです。詳しくは本文でご確認下さい。
それでは参りましょう!
サッシ戸車が悪くなる事による故障の症状
サッシに取り付けられているサッシ戸車が悪くなると様々な不具合を発生させる事になります。
最も大きな影響を受けるのはサッシの開閉時です。
・サッシが重くなって開閉がしずらくなった。
・サッシが動かない。
・サッシを引きづっている様な感覚。
・サッシが引っ掛かる様になった。
これらの多くはサッシの戸車に原因がある事が多いです。その他にも下記の様な不具合はサッシ戸車がその原因の一因として考えられています。
・窓からの隙間風。
・クレセント錠の掛りがわるくなった。
・引き戸の召し合わせ錠のかかりがわるくなった。
・窓が傾いている
今回のお客様邸は、防音サッシのクレセント錠がかかりにくくなり、さらにサッシの動きも重くなったため当社に見積りのご依頼頂きました。防音サッシという特殊なサッシだった為、修理できる業者も少なく当社にて修理をお任せ頂く事となりました。
防音サッシの修理(戸車交換)
上の写真が防音サッシを取り外し、下の戸車部分を撮影した写真となります。既に戸車の一部が欠損しているのが確認出来ます。戸車の不具合でお伺いした際にこの様な感じで初見で戸車が明らかに問題ありと判明出来るのは7~8割です。見た目はイマイチ良く分からないが、サッシをバラして戸車を取り出して初めて不具合が判明するケースもあります。
こちらのお客様では他のサッシも色々と不具合箇所を調べてくれませんか?と点検希望と仰っていました。実際に他のサッシはそれ程取り立てて不具合はありませんでしたが、築年数も古いので戸車供給停止になる前に一度全ての戸車を交換しておきたいとの事で4障子分の戸車合計8個の交換を行いました。
一部の新品旧品の戸車並べて撮影しました。
マンションタイプの防音サッシ戸車の特徴
あえてマンションタイプと言っていますが、戸建てタイプでも同様かもしれません。実際に過去何度かマンションタイプの防音タイプでの戸車交換経験があるのでマンションはほぼ間違いないと分かっているのですが、戸建て住宅の防音サッシ戸車は交換した事がなので、どの様な構造かハッキリわかりません。推察するに同じ様な感じにはなっていると思いますがここでは明言を控えておきます。
防音サッシの戸車には通常の戸車とは異なる大きな特徴があります。
それは・・・・・・。
戸車本体が動くという事です。
ん?戸車が動く?
そりゃ~そうでしょう。戸車ってそもそも動く為の部材じゃないの?
そう思った方。正解です。
しかしここで言う、戸車本体が動くとは車の部分が動くと言う意味ではなく、窓の錠であるクレセント錠で施錠をすると窓サッシ本体が気密性を向上させる為に引き合う様に動きます。その動きは戸車本体が傾く事で行われていると言う意味です。
下の写真をご覧ください。
上に写っているのが既存の戸車で、下に写っているのが取替える新しい戸車です。同じものなのですが、お伝えしたいのはバネみたいなものが取付けられていると思います。戸車本体の上と横がバネで連結されています。上の部分はネジでサッシに固定される事になります。そしてこの戸車はクレセント錠で施錠するとバネの部分が少し伸びて窓同士が引き合わされると言う仕組みになっています。一般的な戸車では戸車本体の上の部分と横の部分は固定式で一体となっていますが防音サッシの戸車は本体上と本体横がいわば分離している構造となっています。
防音サッシが使用されているエリア
さて、この様な気密性の高い防音サッシは一般的に使用されているのでしょうか?
答えはNOです。
防音サッシは空港近くや航空自衛隊など飛行機が頻繁に飛行するエリアで採用されています。一般の住宅地などでは見た事がありません。福岡県で言うと、福岡空港付近のマンションや築上郡築上町にある航空自衛隊築城基地付近です。実はこの築上町のお客様(戸建て住宅)に伺った時にも大変珍しいサッシが取付けられていて後に防音サッシだと分かったのでですが当時はガラス割れでご訪問していたのでサッシ戸車まで見ていませんでした。今思えば確認してみとけば良かったと残念に思っています。
この様に防音サッシが採用されている戸数は限定的でレアな修理であると言えます。ちなみに防音サッシの特徴として戸車以外にもクレセント錠も大変特殊なタイプの物が使用されている事が多いです。
防音サッシには汎用品戸車の取付ができない?!
サッシ戸車を交換する時には一般的に汎用品戸車と言われる戸車が使用される事も多いのですが、こと防音サッシに於いては汎用品戸車は使用が困難です。詳しく解説します。
汎用品戸車は戸車本体が動かない
汎用品戸車において防音サッシ用戸車の様に本体が傾く様な戸車を見たことがありません。おそらくは汎用品戸車メーカーはどこも製作していないと推察します。理由は単純明快で需要が極めて
少ないからです。前述しました様に防音サッシ用戸車の使用されている住宅は極限られた範囲です。全国的に見ても圧倒的に少ない需要の為に設計金型コストをかけて商品化する事は合理的ではありません。
そう考えると汎用品戸車は戸車本体が傾く事がないので防音サッシ戸車としては機能を満たす事が出来ません。実際に取付け自体は出来たとしても使用感は良くないと思われます。戸車が外れたりクレセントが掛かりにくかったり、サッシが正常に動かない等のトラブルの原因になると思われます。
純正品戸車を入手するには知識が必要
汎用品戸車への取替が出来ないのであれば、残されたプランは純正品戸車に取替えするかサッシそのものを全て交換する事になります。サッシそのものを全て取替えるには数十万円の費用がかかってきますので現実的には純正部品に取替えする事がベターな選択です。ただその場合、どこで純正品戸車の供給がなされるかそれなりの経験と知識がないと難しいです。DIYが得意な方はホームセンターでネットで部材を取り揃えられる方も多いと思いますが、防音サッシ用戸車は中々販売されていないのでやはり専門業者に任せた方が確実だと思います。
まとめ
本日は防音サッシの戸車を取替えた現場の内容をメインに防音サッシ戸車の特徴や汎用品戸車との違いについて記事にしました。防音サッシの動きが悪くてお困りの方は参考にして下さい。